敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「あのっ、やっぱり私、帰ります! 絶対、ご迷惑になるので」
帰る? 怖がっていたのでは……というか、俺の話を聞いていたよな?
眉根を寄せる俺をよそに、彼女はどことなく焦った様子でスッと立ち上がる。
「万が一見られても、私だけ買い物に行くとか、ケンカしちゃったとか、なにかしら理由づけはできると思いますし大丈夫ですよ。では、お邪魔いたしました……!」
一方的に話して深くお辞儀をすると、逃げるようにそそくさとドアのほうへ歩いていってしまう。
突然どうしたんだ。本当に迷惑になると思って帰ろうと? それとも、小金井美香の件よりも、俺とふたりきりでいるほうが危険だと感じたのだろうか。
いずれにせよ、俺の中で彼女を帰す選択肢は消えている。すぐさまあとを追い、ドアを開けようとするのを制すため、彼女の背後から手を伸ばしてドアを押さえた。
俺とドアの間に挟まれた小さな身体は、ビクッと肩を跳ねさせて動きが止まる。
「私は帰したくないんですが」
天使の輪ができた綺麗な黒髪の上から声を落とすと、それはかすかにさらりと揺れた。
帰る? 怖がっていたのでは……というか、俺の話を聞いていたよな?
眉根を寄せる俺をよそに、彼女はどことなく焦った様子でスッと立ち上がる。
「万が一見られても、私だけ買い物に行くとか、ケンカしちゃったとか、なにかしら理由づけはできると思いますし大丈夫ですよ。では、お邪魔いたしました……!」
一方的に話して深くお辞儀をすると、逃げるようにそそくさとドアのほうへ歩いていってしまう。
突然どうしたんだ。本当に迷惑になると思って帰ろうと? それとも、小金井美香の件よりも、俺とふたりきりでいるほうが危険だと感じたのだろうか。
いずれにせよ、俺の中で彼女を帰す選択肢は消えている。すぐさまあとを追い、ドアを開けようとするのを制すため、彼女の背後から手を伸ばしてドアを押さえた。
俺とドアの間に挟まれた小さな身体は、ビクッと肩を跳ねさせて動きが止まる。
「私は帰したくないんですが」
天使の輪ができた綺麗な黒髪の上から声を落とすと、それはかすかにさらりと揺れた。