敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
◇眼鏡フェチな彼女
静かにコーヒーをいただいている表向きの姿とは裏腹に、私の脳内は今、キャパオーバーでブレイク寸前だ。
今夜の予定は、ただ母と食事をするだけだったはず。
それがどういうことだろう。専務のマンションに連れてこられ、抱きしめられ、キスまでされそうになって、挙句の果てには一晩を過ごすことになってしまった。
それはつまり、お風呂上がりの色気たっぷりな専務や、寝起きの気だるげな専務、そしていつかは必ずするであろう眼鏡を外す瞬間の専務を堪能できるわけで……!
これはまずい。非常にまずい。鼻血を垂れ流してしまうかもしれない。
しかも、『私が必ずあなたを守ります』だなんて真剣な瞳で言われたら、本当の恋人か、お姫様にでもなったかのような錯覚を引き起こされる。
『守る、とか……と、泊まるとか、さっきからもう……』
先ほどの私はそう呟きながら、萌えワードが満載でのた打ち回りたいのを堪え、両手で顔を覆っていたのだった。
こんなみっともない自分が露呈しそうだから、おいとましたかったのにな……。もちろん、男性の家にお泊まりするのが初めてで、緊張しまくっているのも事実なのだけれど。