敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
和やかにディナーを終え、店を出たところでタクシーで駅に向かう母を見送った。
現在、私は練馬区でひとり暮らししていて、実家は埼玉。比較的近場なのでちょくちょく帰っているが、母が東京に来るのは珍しい。
それだけ私の彼氏に会いたかったということなのだけど、ひとまず食事会が無事終わってよかった。
「今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました」
「いえ。いいお母さんですね」
専務に深々と頭を下げると、彼はまったく不快そうにせずに穏やかに微笑んだ。そして、優しい瞳のまま視線を合わせる。
「私たちも帰りましょうか、森次さん」
──名前呼びではなくなったことで、夢から醒めた気持ちになる。
そう、私たちは恋人ではない。ある事情から母に恋人を紹介しなければいけなくなったため、専務に協力してもらって演じていただけ。
だから、彼が口にした『魅力的』だとか『笑顔に惚れ込んだ』だとかのセリフは建前であって、決してノロケられるものではないのだ。
現在、私は練馬区でひとり暮らししていて、実家は埼玉。比較的近場なのでちょくちょく帰っているが、母が東京に来るのは珍しい。
それだけ私の彼氏に会いたかったということなのだけど、ひとまず食事会が無事終わってよかった。
「今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました」
「いえ。いいお母さんですね」
専務に深々と頭を下げると、彼はまったく不快そうにせずに穏やかに微笑んだ。そして、優しい瞳のまま視線を合わせる。
「私たちも帰りましょうか、森次さん」
──名前呼びではなくなったことで、夢から醒めた気持ちになる。
そう、私たちは恋人ではない。ある事情から母に恋人を紹介しなければいけなくなったため、専務に協力してもらって演じていただけ。
だから、彼が口にした『魅力的』だとか『笑顔に惚れ込んだ』だとかのセリフは建前であって、決してノロケられるものではないのだ。