敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
「森次さん」
呼ばれて我に返ると、専務はいつの間にか助手席側に回ってドアを開けていた。
夢から醒めたばかりのような、ふわふわした気分で、こちらを覗き込む彼を見上げる。
「一応確認しましたが、怪しい人物はいないので大丈夫ですよ」
「あ、はい……! ありがとうございます」
そそくさと降りると、彼は守るように肩を抱いて歩いてくれる。紳士的な気遣いはさすがで、ますます恋心が膨れ上がる。
ところが、彼が眼鏡を押し上げている姿を見たとき、自分の気持ちにわずかな疑惑が芽生えた。
もしかしたら、フェチが行きすぎて眼鏡に恋しているだけ、ってこともありえるのでは……?
百パーセントないとは断言できない。でもこれから始まる同居は、その疑惑を払拭するいい機会になるかもしれない。
素の専務自身を見てもなお好きだと感じたら、それは確かな気持ちだから。
私の視線に気づいた彼が、こちらを見下ろして優しく微笑み、胸がきゅっと締めつけられた。
恋しているのは眼鏡なのか、彼自身なのか、真面目に考える自分は滑稽すぎる。
──私がこんなどうしようもない女だということを、彼はまだ知らない。
呼ばれて我に返ると、専務はいつの間にか助手席側に回ってドアを開けていた。
夢から醒めたばかりのような、ふわふわした気分で、こちらを覗き込む彼を見上げる。
「一応確認しましたが、怪しい人物はいないので大丈夫ですよ」
「あ、はい……! ありがとうございます」
そそくさと降りると、彼は守るように肩を抱いて歩いてくれる。紳士的な気遣いはさすがで、ますます恋心が膨れ上がる。
ところが、彼が眼鏡を押し上げている姿を見たとき、自分の気持ちにわずかな疑惑が芽生えた。
もしかしたら、フェチが行きすぎて眼鏡に恋しているだけ、ってこともありえるのでは……?
百パーセントないとは断言できない。でもこれから始まる同居は、その疑惑を払拭するいい機会になるかもしれない。
素の専務自身を見てもなお好きだと感じたら、それは確かな気持ちだから。
私の視線に気づいた彼が、こちらを見下ろして優しく微笑み、胸がきゅっと締めつけられた。
恋しているのは眼鏡なのか、彼自身なのか、真面目に考える自分は滑稽すぎる。
──私がこんなどうしようもない女だということを、彼はまだ知らない。