敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
──誕生日当日。満開となった桜が一層美しく見えそうな、清々しく晴れた朝を迎えた。
最近はあえてひとり分のスペースを開けて寝ることはせず、朝になると自然にくっついているときもある。
それが小さな幸せで、かつ欲求が高まるばかりでもあるのだが、今朝は起きると隣に彼女の姿がなかった。
リビングにもいないので、森次さんの荷物を置いたり着替えたりするのに使っている、もうひとつの部屋にいるようだ。出かける準備をしているのだろう。
コーヒーを淹れて待っていると、リビングのドアが開く。
真っ先に〝誕生日おめでとう〟の言葉をかけようとしたのに、現れた彼女を見て、口を開きかけたまま一時停止してしまった。
ふんわりとした白いニットと、ロング丈のプリーツスカートを合わせたスタイルに、さらさらの長い黒髪が揺れる。
普段はあまり見ない、女性らしさをひしひしと感じる姿に胸が鳴った。同時に、清楚な格好をされると穢したくなる、俺の歪んだ心を突いてくる。
「あの、専務の隣に並んで歩いても、不釣り合いじゃないでしょうか……」
頬を染め、自信なさげな上目遣いで確認してくる姿もいじらしい。