敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
ますます自分だけのものにしたくなりつつ、彼女に近づいて自然な笑みを浮かべる。
「桜じゃなくあなたに見惚れそうなくらい、とても可愛いです。が、ひとつだけ」
歯が浮きそうだが本心である言葉を口にしたあと、ほんの一カ所気になった部分を指摘する。
「今は〝専務〟ではありませんよ、花乃さん」
他人行儀な呼び方をやめるのに、今日はちょうどいい。
いたずらっぽく口角を上げて言うと、俺の意図を理解した彼女は花がほころぶように笑った。
「……はい。生巳さん」
恥ずかしそうにしながらも、従順に名前で呼んでくれた。思い通りにいかない子を手懐けるのもそれはそれで楽しいが、やはり素直に言うことを聞いてくれるのは嬉しい。
「これからも、ふたりのときはそう呼んでください。でないとお仕置きです」
「えっ」
ギョッとする彼女も可愛くて。いつの間にかこんなに愛しさが溢れてくるほど好きになっていたのか、と実感しつつ、クスクスと笑った。
今日は天気も気温もちょうどよく、花見をするには最高の日だった。
ただ日曜なので、なるべく混雑を避けたいと思い、向かったのは国営昭和記念公園。園内がかなり広いため、人の多さがそこまで気にならない穴場なのである。
「桜じゃなくあなたに見惚れそうなくらい、とても可愛いです。が、ひとつだけ」
歯が浮きそうだが本心である言葉を口にしたあと、ほんの一カ所気になった部分を指摘する。
「今は〝専務〟ではありませんよ、花乃さん」
他人行儀な呼び方をやめるのに、今日はちょうどいい。
いたずらっぽく口角を上げて言うと、俺の意図を理解した彼女は花がほころぶように笑った。
「……はい。生巳さん」
恥ずかしそうにしながらも、従順に名前で呼んでくれた。思い通りにいかない子を手懐けるのもそれはそれで楽しいが、やはり素直に言うことを聞いてくれるのは嬉しい。
「これからも、ふたりのときはそう呼んでください。でないとお仕置きです」
「えっ」
ギョッとする彼女も可愛くて。いつの間にかこんなに愛しさが溢れてくるほど好きになっていたのか、と実感しつつ、クスクスと笑った。
今日は天気も気温もちょうどよく、花見をするには最高の日だった。
ただ日曜なので、なるべく混雑を避けたいと思い、向かったのは国営昭和記念公園。園内がかなり広いため、人の多さがそこまで気にならない穴場なのである。