【短編】 『 口許 』
 

取引先に向かう午後
会社のロビーで

よう子先輩

と待ち合わせる

先輩 少し遅いけれど
俺はただの荷物持ち
みたいなモノ

でも 少し
というか 結構
ウキウキしている
俺……




エレベーターの扉が開き

よう子先輩

が降りてくる

ロビーの
こちらのソファに
向きなおり


僕を見つける

その瞬間


を いつも

見逃さないように
努めている自分が

いる


ゆっくりと近付いてくる

先輩


『お待たせ』

少し生意気な笑顔

その目線の先は

……俺

じゃなく

手元のペットボトル

先輩が最近よく
飲んでいる…




『 寺田がロイヤル飲んでるなんて 

ナマイキ 』

手からスルリと

●●トン・ザ・ロイヤル


とって

蓋をあけ

口に運ぶ


隣に座っている

よう子先輩



自分を向いて

少し 悪戯っぽい
笑顔を見せて

笑った

…………………

ヤバイ   です



今 完全に

女のシュミ

かわりました


よう子

……サン





 
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