彼女は突然、僕の前に現れた。
敦は少女を横抱きに持ち上げ家の中に入れた。
「ん、ここ…は?」
「あ、目覚めたか。急に倒れたから家に連れてきた大丈夫か?」
「は、はい…っ」
敦は熱を測るために少女のおでこに手を重ねる。
顔が近いせいもあるのか少女の顔は赤くなった。
「?顔は赤いが熱はないみたいだな。良かった」
熱を測り終わると敦は離れて行く。
「あ、あの!」
「ん?何?」
少女の呼びかけに敦は振り向く。
「クモから助けていただいただけでなく、今回のことも…お願いです。私に恩返しをさせてください!」
少女は正座に座りなおし床に頭をつける。
「…頭、上げてよ。僕さ本当にそこまでのことなんてしてないんだよ」
「ですが、私の命を二回も助けていただきました」
「それは君が綺麗な蝶だったから。もし君が茶色いどこにでもいるような蛾だったら僕はきっと助けてなんていない」
二人の間に少しの沈黙が流れる。
すると少女は。
「そんなの当たり前です。私は私です。貴方が助けたのは私なんです。蒼い蝶である私なんです。そんな私じゃない蝶の話をされても私は戸惑うだけです」
「…君は君?」
「はい!私は私です。貴方が貴方であるように私は私なんです!」
少女にそう言われた敦は、敦の中にあった突っかかりがなくなったようにストーンと何かが落ちたようだ。
「そっか、君は君か…」
「はい!」
「そうだよね、君は蒼い蝶で他の蝶の話をされても困るよね」
「そうです」
「うん、確かにそうだ。僕だって知らない人の話をされても困る。…ごめんね」
少女はニッコリと優しく笑った。
「分かっていただけたなら何よりです」
「そう言えば君の名前は?」
「…名前ですか?」
「うん。ずっと君って呼ぶのも味気ないでしょ。あ、因みに僕は花田敦」
少女は困った顔をしている。
「私達は蝶でしかないので名前はないんです。因みに名前を付けるのは人間特有なんだそうですよ?私達は所詮蝶でしかないので名前はないんです」
なるほど、と敦は納得する。
「じゃあ僕が付けてもいい?名前」
「え!?いいんですか?」
「もちろん!…まあ、気に入るかどうかは分かんないけれど」
「お願いします!」
少女の期待の目が敦に突き刺さる。
「うっ、期待はあまりしないで欲しいかな。んーどうしよう…」
「ん、ここ…は?」
「あ、目覚めたか。急に倒れたから家に連れてきた大丈夫か?」
「は、はい…っ」
敦は熱を測るために少女のおでこに手を重ねる。
顔が近いせいもあるのか少女の顔は赤くなった。
「?顔は赤いが熱はないみたいだな。良かった」
熱を測り終わると敦は離れて行く。
「あ、あの!」
「ん?何?」
少女の呼びかけに敦は振り向く。
「クモから助けていただいただけでなく、今回のことも…お願いです。私に恩返しをさせてください!」
少女は正座に座りなおし床に頭をつける。
「…頭、上げてよ。僕さ本当にそこまでのことなんてしてないんだよ」
「ですが、私の命を二回も助けていただきました」
「それは君が綺麗な蝶だったから。もし君が茶色いどこにでもいるような蛾だったら僕はきっと助けてなんていない」
二人の間に少しの沈黙が流れる。
すると少女は。
「そんなの当たり前です。私は私です。貴方が助けたのは私なんです。蒼い蝶である私なんです。そんな私じゃない蝶の話をされても私は戸惑うだけです」
「…君は君?」
「はい!私は私です。貴方が貴方であるように私は私なんです!」
少女にそう言われた敦は、敦の中にあった突っかかりがなくなったようにストーンと何かが落ちたようだ。
「そっか、君は君か…」
「はい!」
「そうだよね、君は蒼い蝶で他の蝶の話をされても困るよね」
「そうです」
「うん、確かにそうだ。僕だって知らない人の話をされても困る。…ごめんね」
少女はニッコリと優しく笑った。
「分かっていただけたなら何よりです」
「そう言えば君の名前は?」
「…名前ですか?」
「うん。ずっと君って呼ぶのも味気ないでしょ。あ、因みに僕は花田敦」
少女は困った顔をしている。
「私達は蝶でしかないので名前はないんです。因みに名前を付けるのは人間特有なんだそうですよ?私達は所詮蝶でしかないので名前はないんです」
なるほど、と敦は納得する。
「じゃあ僕が付けてもいい?名前」
「え!?いいんですか?」
「もちろん!…まあ、気に入るかどうかは分かんないけれど」
「お願いします!」
少女の期待の目が敦に突き刺さる。
「うっ、期待はあまりしないで欲しいかな。んーどうしよう…」