教育戦争と色
教師は私に期待という責任を塗りたくり、その場から立ち去る。

私は、いつも思う。わざと間違えてしまえばよいのでは。
そうすれば期待をされることもなく気楽に生きていられるじゃない。

点数を取ったのに周りの人たちからは嫌われる毎日。
もうたくさんだわ。


色の心はいつもすさんでいたんだ。


彼女は寮に住んでいた。
いつも賑やかな場所だった。
でも彼女は、そこが賑やかで温かい場所ということは知らない。

今日もワイワイとリビングで談笑をしている。

「今日も色に点数負けたんだ。」
「それは残念だったね。」
「大丈夫だよ、君は頑張ってるよ。」

洋順平|《ようじゅんぺい》という少年は色に対してライバル心を抱いているようだった。
美緒|《みお》という少女と、
梨央|《りお》という少年は、そんな順平を励ましているようだった。

その会話はもちろん色には届かず色は部屋に入ったままでてきていない。


自分以外はどうでもよいのだ。
今日がいつであろうと関係はないし、明日がどんな日になろうと関係ないのだ。

だから、勉強なんて本当はどうでもよいし、国のことなんて心底どうでもいいのであった。
でも、国の命令に背くことは自分の生命にかかわることになるので従わなくてはいけない。

色の世界はいつも色彩がなかった。
それは、色が本当に小さいときから変わらずなかった。
色が最後に色彩を感じたのは両親の顔だった。

顔の色彩が色には見える。
記憶の中の母親は顔が赤かった。怒っているのだ。
記憶の中の父親は顔が青かった。悲しんでいるのだ。

なぜ起こっていたのか、なぜ悲しんでいたのか色には見当もつかなかった。
ただ一つ言えることは、そのことを教えてくれる両親はもうこの世にはいなかった。

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