私を、好きでいてくれた人

そして私達は駅から出て、二つの分かれ道の前で止まった。


「早瀬、アパートどっち?」


「私、こっち」


私は右の方を指した。


「そっか、逆だな?俺はこっち」


「そっか、今日はありがとう……びっくりしたけど、話せて良かったな」


「そうだな、俺もっ」


「うん、それじゃ」


「あぁ、じゃ」


そう言って私達は、お互いに背を向け歩きだした。

また、電車か、駅で会ったら声かけていいのかな?

聞くの、忘れちゃった…。

そんなことを考えていると、


「早瀬っ!」


後ろからの声に、私は思わず振り向くと、小林くんが駆け足で私の前にきた。


「小林くん?どうしたの?あ……ドリンク代?えっと…」


そう言って私が鞄から財布を出そうとすると、


「アホかっ、ちげーよ」


「えっ!?アホって…」

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