私を、好きでいてくれた人
「………ぷっ…」
「えっ…?」
私が笑ってしまい、小林くんは顔を上げた。
「だって、そんな真剣に謝ってくるんだもん」
「早瀬…」
「でも、夕飯は小林くんのおごりだからねっ」
「おうよ!何でも言え、食べたい物っ」
「もうっ」
そして私達は、駅前に戻る為にバスに乗った。
「でもさ、綺麗だったな?プラネタリュウム」
「だから小林くんは寝てたでしょ」
「見てたって…ふたご座がどうのこうの言ってた頃まで」
「あのねー…結構初めの方だよそれ」
「あーぁ…やっぱり”あの頃の俺”じゃないからかな?眠くなっちまったんだよな」
「分かんないよ?あの頃の小林くんと来ても、寝てたかもよ?」
「それはない!早瀬が隣にいて寝る俺が想像できない!」
「いや…寝てたし」
「だから、あの頃の俺らじゃないからだよな」
「なんの説得?」
「でも夢叶った、ありがとな?早瀬っ」
そう言って小林くんは、顔全体でクシャと笑った。
なんか、笑顔で誤魔化そうとしてない?
まぁー…いっか?
私も、あの頃の私じゃないし、
小林くんも、私を隣にしても寝られる程、今は意識してないってことだもんね…。