私を、好きでいてくれた人
そして、私達の降りる駅に電車が着いた。
改札口を出て私は携帯音が鳴った気がして、鞄の中から携帯を取り出そうと鞄の中に手を入れた時、
後ろから数人のガラの悪そうな人達が、大きな声で会話しながら私の後ろに来ていた。
携帯はあとでいっか、そう思って鞄から左手を抜いた時、その左手首を掴まれた。
「早瀬っ、こっち」
「えっ!?」
少し前を歩いてたはずの小林くんに、左手首を掴まれ私達はいつもの噴水前に来た。
ガラの悪そうな人達は、そのまま会話をしながら道の方へ歩いて行った。
私は、掴まれた左手首と、小林くんの顔を見る。
「小林くん…?」
「あっ…悪い!」
そう言って小林くんは、掴んでいた私の左手首を離した。
「ううん…私があの人達にぶつかりそうだったから、引っ張ってくれたんだよね?」
「うん、まぁー…」
「びっくりしたよ、小林くん少し前歩いてたはずなのに、私の手首掴んだから」
「悪い…なんか、とっさに?」
「ふふ…なにそれ、でもありがとう」
「んー…」
そう言って小林くんは、私から視線をそらした。
小さなことだけど、本当にありがとう…。
でも、こういうのも"友達”っていうのかな……。