私を、好きでいてくれた人
「……っ!」
自分でそう言って、私はハッとして立ち上がる。
「まさか…ポケットまだ見てなかったのかよ?」
「いや…あのね…」
私は少し焦りながら、上着のポケットに手を突っ込む。
触れた感触の物をつかみ、目で確認する。
「あった…」
と、同時に目の前の小林くんが呆れた顔をする。
「それ…いつもなのかよ?」
「えっ…違うよ!?たまにっ、ごくたまにだからねっ」
「あー…そう?とりあえず鞄の中のしまったら?」
「あ…はい」
私は、取り出した鞄の中の物を中へと戻す。
全部鞄の中へ戻したところで、小林くんはそのままベンチに座る。
「いやー…ことごとくイメージ変わっていくね?早瀬のっ」
「や…だから、たまたまだって言ってるじゃん」
そう言って私も鞄を膝の上に置いて、自然と小林くんの隣に座った。