私を、好きでいてくれた人
「俺、小林っ、三年の時は同じクラスだったんだけどな?」
「えっ…と…」
小林くん…?
三年の時は、同じクラス…
……あっ!
「小林くん!高校の同級生のっ」
「そう!あー…良かった、微塵も覚えてないのかと思ったぜ」
「ごめん…スーツだし、気づくの遅くなって」
「まぁーいいけど?それより降りる駅は…次?」
「…うん?」
「とりあえず、駅着いたら少し休んだ方がいいな?」
「うん…そうする」
そう言って小林くんは、私から電車の外へ視線を移した。
なんで…次が降りる駅だって分かったんだろ?
それにしても、驚いたな…。
小林くんのこと、覚えてなかったわけじゃない。
私に気づいて声をかけてくれたことと、
スーツ姿で、あの頃の小林くんじゃなかったことに、驚いたんだ…。
そして、私が降りる駅に電車が止まった。
「じゃぁ…小林くん、私はここで」
「うん、っていうか、俺もここだから…」
「え…!?」
「いーから、早く降りろ、ほらっ」
「わっ…」
私は、小林くんに肩を少し押され、電車から降りた。