私を、好きでいてくれた人
そう言って私は少し先に歩き始めた小林くんに駆け寄り、私達は駅の中へ入った。
「なぁー…俺の笑顔って変?」
「えっ?そんなことないよ?顔全体で笑う感じがとってもいいと思う、明るい笑顔だよねっ」
「……っ、そっか?ふーん…」
そう言って小林くんは少し私から視線を反らしていた。
もしかして、照れてる…?
……違うか?
そして、私達は水族館方面行きの電車に乗った。
「いつもと違う方面の電車に乗ると、少しワクワクしない?私だけ?」
「あー…分かるっ、それ」
「だよね?よかったぁ~」
私と小林くんって、結構価値観合うのかな…?
「俺も変わらないって思うよ?」
「え…?なにが?」
「早瀬の笑顔…」
「……私?」
「好きだった頃のまま…早瀬の笑顔」
「……っ、あー…ありがとう?」
「ぷっ…なんで疑問形なんだよ?」
「分かんない…」
「なんだそれ」
……なんて答えたらいいのか、分からなかった。
あの頃ー…小林くんを好きになってたら、また違う人生になってたのかな…。
そう思いながら、私は隣の小林くんの横顔を盗み見していた。