Thidori(そもそも幽霊って成仏するの?)入部編
嘲笑と爆笑とナイフのような視線がわたしの体中をあっちこっちぐさぐさ突き刺さる。わたしは小休憩の間、机に突っ伏して顔を隠した。そんなわたしを気遣ってか姫ちゃんがすぐに駆けつけてくれた。

わたしは突っ伏したまま顔だけ姫ちゃんの方に向ける。姫ちゃんは笑いをこらえるのが必死のようにみえる。姫ちゃん、笑い事じゃないよう、とわたしはいいたいよ。

「凄い寝言だったな、あんな大声でうるさいだもんな」

「言わないでよ、すごく恥ずかしいだよ」

「でも、これで一躍有名人じゃないか」

「うぅぅ、こんな変人みたいな形で有名になんかなりたくない」

わたしがむくれていると姫ちゃんはわたしの背中をバンッと叩いた。

「そんな、落ち込むなやよ、わたしはスゲー面白かったぞ」

わたしはぜんぜん面白くないよ。わたしは目立たず平穏に暮らしたいんだよ。ただでさえ、変なのに憑かれているのに。チャイムが鳴り姫ちゃんは席に戻って行った。まあ元気だせよ、便所飯付き合うからさと、口角を上げて笑いながら。
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