にじいろの向こう側
◇
俺が小夜ちゃんを送って行った後に話した一部始終を涼太に聞きいてから、真人さんをお連れした、リビング。
奥様は買い物へ行く前だったのか、丁度、旦那様とお話をされていた所だった。
「失礼致します。」
「おう、薮…ちょうど良かった、今、鳥屋尾さんの件を…。」
片手を上げた旦那様の顔がそのままフリーズする。
隣の奥様も。
「た、ただいま…。」
そんな二人に俺の少し後ろに隠れながら、苦笑いで片手を少しあげる真人様。
そのまま数秒の静寂がリビングに訪れて
「真人!」
その後、大きな声が響いた。
真っ先に駆け寄って来たのは奥様で躊躇無く真人さんの事を抱き締める。
「…お帰りなさい。」
それを黙って見守る旦那様の瞳が揺らめいた。
.
奥様に促されて真人様が座らされたソファー
その背中当たりに立つと、少しだけ旦那様が俺に眉を下げて笑いかけた。
「…薮、ご苦労様。だが、もう少しだけ、ここに居てやってくれ。」
「かしこまりました。」
「…真人、世界はどうだった。」
「え…。」
覚悟していた事と違う言葉が返って来たのか、少しきょとんとする真人さん。
「どうだったか、と聞いている。」
「あ、ああ…うん。かなり広かった。」
真人さん…そう言う事を言われてるわけではないと、俺は思うけど。
もっとさ、情勢がどうとか…そう言う…。
「そうか、それはよかった。」
ええ~…その答えでいいの?!
項垂れてたら、奥様と目があって含み笑いされて思わず咳払い。
それにしても、旦那様と真人さんが語らう所を改めて見ると、瑞稀と話す時とはだいぶ違う。
距離感なのか、雰囲気なのか…とにかく、より近い感じがするな。
旦那様と瑞稀もこの位であれば…違ったのかもな、結婚話も。
そんな事を思い始めたら、旦那様が急に立ち上がった。
「真人、歯を食いしばれ。」
「え?」
真人さんが顔を上げたと同時に胸ぐらをグンと掴み、自分に引き寄せる。
ガツン!
真人さんの頬にその拳を振り下ろした。
「だ、旦那様、何を…」
慌てて倒れ込んだ真人さんにかけよって見上げた旦那様の顔は、潤いに満ちた瞳で、唇を震わせていた。
「…今回はこれで許してやる。だが、次はない。」
そう言って再びソファーへと腰を下ろす。
「真人…かけなさい。
そして、お前が見て来たものを私と母さんに話してくれ。
それから…瑞稀の事も。」
思わず真人さんと顔を見合わせた。
「…言い訳をすれば、忙しさにかまけてたせいだったんだと思う。あいつの表の顔が全てだと思って安心していたんだ。
何事もそつなくこなして、穏やか。
決して、火種を作る様な事はしない。
それが、『瑞稀』だと…。
全てにおいて優秀で完璧に近かかった瑞稀に逆に俺達は真人、お前の事を気にかけてしまった。
世間の目に惑わされ、お前が腐ってしまわない様、そっちにばかり気を取られてた。
…だが、それは間違いだったって、お前が居なくなったことで思い知らされたよ。
小夜ちゃんが離れ、大学を卒業して一人になったあいつは人間味が薄くなった。
確かに仕事は完璧以上に出来たが、それだけだった。」
旦那様は、腰掛け直した真人さんを見てから、再び立ち上がる。そして、真人さんに向かって頭を丁寧に下げた。
「お前が居なくなって、初めて分かったんだ。
あいつは、お前に支えられてたんだって。
本当は、親である私達が支えなければならなかった所、全て。
…ありがとう、真人。」
そう言う事だったのか。
やっぱり、家族の事情は家族にしかわかんねーもんだよね。
どんなに世間が『時期会長は瑞稀様』って言おうが、一貫して『真人を会長に』と言って来た旦那様。
それは…個性の全く違う二人の息子を平等に扱いたいっつー親の配慮だったってわけだ。
ただ、それがうまく子供には伝わらなくて、複雑な絡まりが生じてたってこと。
まあ、どんなに名家でも、大グループの会長の家だって、人は人。
家族の葛藤とか、すれ違いなんて当たり前の様にあるんだろうから。
や、寧ろ、家族だけじゃない複雑な事情を抱えなきゃいけない分、発生しやすいのかもね、そう言う事。
頭を下げ続けてる旦那様の隣でその姿をジッと見つめている奥様の瞳が揺れている。
…恐らく。
一番辛い想いをしなければならなかったのは奥様。
旦那様と子供達の狭間に立ち、全ての事を穏便に運んで来なければならなかった。
『谷村家』と言うネームバリューを背負って。
「あなた…。」
背中をそっとさすりながら、またソファへ座る様に促す表情が、柔らかく優しかった。
すげーわ、この人。
どんな事があっても、旦那様の傍らに居る、一番の味方で居るって、その所作だけで覚悟が伝わって来る。
「…薮と斎藤が家に入った時位からかな、あいつが変わり始めたのは。
それから…今。」
再び腰を下ろした旦那様の呟きに、また真人さんと目を合わせて、少し頷き合った。
これは…チャンスかもしんねーよな。
うまくすれば、こっち側に引き入れられる。
「父さん、今の瑞稀があるのは、明らかに咲月ちゃんのおかげだと思う。」
真人さんが口を開いたら、少しだけその肩がぴくりと動く旦那様
「…彼女はダメだ。」
「どうして?だって、圭介から聞いたけど、手紙があったんでしょ?佐治郎じいちゃんの。」
「だからだよ。」
…どう言う事だ?
寧ろ、それを盾に咲月ちゃんから結婚を申し込まれてもおかしくない感じだけど。
ふと頭の中に描いた時系列。
先代が手紙を書いたのが咲月ちゃんが生まれた時。
鈴木家と谷村家の当主同士が瑞稀と小夜ちゃんを引き合わせたのがその少し前…。
…成る程ね、そう言う事か。
大変だよな、こうも、名の通った家同士のやり取りは。
大きく息を吐き出して、腹に気合いを込めた。
…“谷村瑞稀”の執事として、状況を整理し、“瑞稀様”が動きやすい様にしなければ。俺は、“谷村瑞稀”の為にこの屋敷の執事になったんだ。
「失礼ながら、鈴木家との約束を反古に出来ないと言う思いがあるのでは。
だからこそ、瑞稀様の傍らに相応しき女性が出て来て、焦ったのでは。」
俺をジッと見る旦那様の瞳が少しまた揺れた。
「…まさか、小夜ちゃん以外に、そんな女性が出来るなんて、思いもしなかった。
薮だって知っているだろ?
瑞稀は小夜ちゃんと居る時、本当にイイ顔をしてたんだ。
あいつのあんな…楽しそうで、愛おしそうな顔、俺達は端からしか見た事なかった。」
それは、確かにその通りだ。
端から見てる、俺と涼太も、二人の仲睦まじさが微笑ましかったりした時もあった。
けれど、それはあくまでも、『過去にそうであった』と言うだけ。
「…失礼ながら。
瑞稀様の中でも、少しずつ時間が進んでいられるのかと思います。
確かに、小夜子さんの事は深く想っていたと私も思いますが…それでも過ぎた出来事として、瑞稀様の中で必死で消化し、今に至っているのだと」
…旦那様の気持ちは痛いほど伝わる。
あの事をきっかけに、距離が離れたのは小夜ちゃんだけじゃなかった。
旦那様や、奥様と瑞稀の距離もより離れてしまったのだろう。
それはつまり、小夜ちゃんが居なくなってから今までの瑞稀の過程を全くと言って良いほど知らないとも言える。
小夜ちゃんが戻れば、咲月ちゃんが居なくとも瑞稀はきっと大丈夫だと直結させてもおかしくない。
…そして、それがうまくいけば、昔から繋がりが深い鈴木家との仲も保てると。
「…あなた。」
奥様がスッとまた背中を擦る。それに呼応するように、旦那様はまた息を大きく吐き出した。
「鈴木家の当主は俺の盟友でもあり、恩人でもあるんだ。あいつとの約束を反古にする事は個人としても、谷村家としても出来る事じゃない。
ましてや、今回は俺が自ら頭を下げに行ってるんだ。」
「でもさ、その為に瑞稀が辛い想いするなんて、何か変じゃない?」
不服そうに口を尖らせる真人様に思わず頬が緩む。
…こう言う時の真人さんて本当にすげーよなって思う。
こうやって無意識に場を和ませて、そして、話をいい方向に持って行く力を持ってる。
『なるべく、話し合いの場には一緒に居て欲しいんだよね』
瑞稀の気持ち、すげー分かる、今。
「ねえ!鈴木のお父さんに直接ぶっちゃけちゃえば?!ちゃんと話せばわかってくれそうじゃない?」
…うん、発言が軽々しい時もあるけど。
それはさすがにさ…子供同士の話し合いじゃないんだし…家同士の事であって、旦那様だって考えた末に小夜ちゃんの所に行ったんだろうし…
「そうだな。それもありか、あいつなら。俺の突飛の行動も慣れてる。」
ええ?!納得?!
瑞稀との話し合いはあんなに平行線だったのに。
それに、突飛ってなんだ、突飛って…。
また項垂れた俺に、奥様は苦笑い。
それを見て、何となく悟った。
まあ、でも、そっか、こうやってうまく事が進んで来たのかな、谷村家は、と。
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俺が小夜ちゃんを送って行った後に話した一部始終を涼太に聞きいてから、真人さんをお連れした、リビング。
奥様は買い物へ行く前だったのか、丁度、旦那様とお話をされていた所だった。
「失礼致します。」
「おう、薮…ちょうど良かった、今、鳥屋尾さんの件を…。」
片手を上げた旦那様の顔がそのままフリーズする。
隣の奥様も。
「た、ただいま…。」
そんな二人に俺の少し後ろに隠れながら、苦笑いで片手を少しあげる真人様。
そのまま数秒の静寂がリビングに訪れて
「真人!」
その後、大きな声が響いた。
真っ先に駆け寄って来たのは奥様で躊躇無く真人さんの事を抱き締める。
「…お帰りなさい。」
それを黙って見守る旦那様の瞳が揺らめいた。
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奥様に促されて真人様が座らされたソファー
その背中当たりに立つと、少しだけ旦那様が俺に眉を下げて笑いかけた。
「…薮、ご苦労様。だが、もう少しだけ、ここに居てやってくれ。」
「かしこまりました。」
「…真人、世界はどうだった。」
「え…。」
覚悟していた事と違う言葉が返って来たのか、少しきょとんとする真人さん。
「どうだったか、と聞いている。」
「あ、ああ…うん。かなり広かった。」
真人さん…そう言う事を言われてるわけではないと、俺は思うけど。
もっとさ、情勢がどうとか…そう言う…。
「そうか、それはよかった。」
ええ~…その答えでいいの?!
項垂れてたら、奥様と目があって含み笑いされて思わず咳払い。
それにしても、旦那様と真人さんが語らう所を改めて見ると、瑞稀と話す時とはだいぶ違う。
距離感なのか、雰囲気なのか…とにかく、より近い感じがするな。
旦那様と瑞稀もこの位であれば…違ったのかもな、結婚話も。
そんな事を思い始めたら、旦那様が急に立ち上がった。
「真人、歯を食いしばれ。」
「え?」
真人さんが顔を上げたと同時に胸ぐらをグンと掴み、自分に引き寄せる。
ガツン!
真人さんの頬にその拳を振り下ろした。
「だ、旦那様、何を…」
慌てて倒れ込んだ真人さんにかけよって見上げた旦那様の顔は、潤いに満ちた瞳で、唇を震わせていた。
「…今回はこれで許してやる。だが、次はない。」
そう言って再びソファーへと腰を下ろす。
「真人…かけなさい。
そして、お前が見て来たものを私と母さんに話してくれ。
それから…瑞稀の事も。」
思わず真人さんと顔を見合わせた。
「…言い訳をすれば、忙しさにかまけてたせいだったんだと思う。あいつの表の顔が全てだと思って安心していたんだ。
何事もそつなくこなして、穏やか。
決して、火種を作る様な事はしない。
それが、『瑞稀』だと…。
全てにおいて優秀で完璧に近かかった瑞稀に逆に俺達は真人、お前の事を気にかけてしまった。
世間の目に惑わされ、お前が腐ってしまわない様、そっちにばかり気を取られてた。
…だが、それは間違いだったって、お前が居なくなったことで思い知らされたよ。
小夜ちゃんが離れ、大学を卒業して一人になったあいつは人間味が薄くなった。
確かに仕事は完璧以上に出来たが、それだけだった。」
旦那様は、腰掛け直した真人さんを見てから、再び立ち上がる。そして、真人さんに向かって頭を丁寧に下げた。
「お前が居なくなって、初めて分かったんだ。
あいつは、お前に支えられてたんだって。
本当は、親である私達が支えなければならなかった所、全て。
…ありがとう、真人。」
そう言う事だったのか。
やっぱり、家族の事情は家族にしかわかんねーもんだよね。
どんなに世間が『時期会長は瑞稀様』って言おうが、一貫して『真人を会長に』と言って来た旦那様。
それは…個性の全く違う二人の息子を平等に扱いたいっつー親の配慮だったってわけだ。
ただ、それがうまく子供には伝わらなくて、複雑な絡まりが生じてたってこと。
まあ、どんなに名家でも、大グループの会長の家だって、人は人。
家族の葛藤とか、すれ違いなんて当たり前の様にあるんだろうから。
や、寧ろ、家族だけじゃない複雑な事情を抱えなきゃいけない分、発生しやすいのかもね、そう言う事。
頭を下げ続けてる旦那様の隣でその姿をジッと見つめている奥様の瞳が揺れている。
…恐らく。
一番辛い想いをしなければならなかったのは奥様。
旦那様と子供達の狭間に立ち、全ての事を穏便に運んで来なければならなかった。
『谷村家』と言うネームバリューを背負って。
「あなた…。」
背中をそっとさすりながら、またソファへ座る様に促す表情が、柔らかく優しかった。
すげーわ、この人。
どんな事があっても、旦那様の傍らに居る、一番の味方で居るって、その所作だけで覚悟が伝わって来る。
「…薮と斎藤が家に入った時位からかな、あいつが変わり始めたのは。
それから…今。」
再び腰を下ろした旦那様の呟きに、また真人さんと目を合わせて、少し頷き合った。
これは…チャンスかもしんねーよな。
うまくすれば、こっち側に引き入れられる。
「父さん、今の瑞稀があるのは、明らかに咲月ちゃんのおかげだと思う。」
真人さんが口を開いたら、少しだけその肩がぴくりと動く旦那様
「…彼女はダメだ。」
「どうして?だって、圭介から聞いたけど、手紙があったんでしょ?佐治郎じいちゃんの。」
「だからだよ。」
…どう言う事だ?
寧ろ、それを盾に咲月ちゃんから結婚を申し込まれてもおかしくない感じだけど。
ふと頭の中に描いた時系列。
先代が手紙を書いたのが咲月ちゃんが生まれた時。
鈴木家と谷村家の当主同士が瑞稀と小夜ちゃんを引き合わせたのがその少し前…。
…成る程ね、そう言う事か。
大変だよな、こうも、名の通った家同士のやり取りは。
大きく息を吐き出して、腹に気合いを込めた。
…“谷村瑞稀”の執事として、状況を整理し、“瑞稀様”が動きやすい様にしなければ。俺は、“谷村瑞稀”の為にこの屋敷の執事になったんだ。
「失礼ながら、鈴木家との約束を反古に出来ないと言う思いがあるのでは。
だからこそ、瑞稀様の傍らに相応しき女性が出て来て、焦ったのでは。」
俺をジッと見る旦那様の瞳が少しまた揺れた。
「…まさか、小夜ちゃん以外に、そんな女性が出来るなんて、思いもしなかった。
薮だって知っているだろ?
瑞稀は小夜ちゃんと居る時、本当にイイ顔をしてたんだ。
あいつのあんな…楽しそうで、愛おしそうな顔、俺達は端からしか見た事なかった。」
それは、確かにその通りだ。
端から見てる、俺と涼太も、二人の仲睦まじさが微笑ましかったりした時もあった。
けれど、それはあくまでも、『過去にそうであった』と言うだけ。
「…失礼ながら。
瑞稀様の中でも、少しずつ時間が進んでいられるのかと思います。
確かに、小夜子さんの事は深く想っていたと私も思いますが…それでも過ぎた出来事として、瑞稀様の中で必死で消化し、今に至っているのだと」
…旦那様の気持ちは痛いほど伝わる。
あの事をきっかけに、距離が離れたのは小夜ちゃんだけじゃなかった。
旦那様や、奥様と瑞稀の距離もより離れてしまったのだろう。
それはつまり、小夜ちゃんが居なくなってから今までの瑞稀の過程を全くと言って良いほど知らないとも言える。
小夜ちゃんが戻れば、咲月ちゃんが居なくとも瑞稀はきっと大丈夫だと直結させてもおかしくない。
…そして、それがうまくいけば、昔から繋がりが深い鈴木家との仲も保てると。
「…あなた。」
奥様がスッとまた背中を擦る。それに呼応するように、旦那様はまた息を大きく吐き出した。
「鈴木家の当主は俺の盟友でもあり、恩人でもあるんだ。あいつとの約束を反古にする事は個人としても、谷村家としても出来る事じゃない。
ましてや、今回は俺が自ら頭を下げに行ってるんだ。」
「でもさ、その為に瑞稀が辛い想いするなんて、何か変じゃない?」
不服そうに口を尖らせる真人様に思わず頬が緩む。
…こう言う時の真人さんて本当にすげーよなって思う。
こうやって無意識に場を和ませて、そして、話をいい方向に持って行く力を持ってる。
『なるべく、話し合いの場には一緒に居て欲しいんだよね』
瑞稀の気持ち、すげー分かる、今。
「ねえ!鈴木のお父さんに直接ぶっちゃけちゃえば?!ちゃんと話せばわかってくれそうじゃない?」
…うん、発言が軽々しい時もあるけど。
それはさすがにさ…子供同士の話し合いじゃないんだし…家同士の事であって、旦那様だって考えた末に小夜ちゃんの所に行ったんだろうし…
「そうだな。それもありか、あいつなら。俺の突飛の行動も慣れてる。」
ええ?!納得?!
瑞稀との話し合いはあんなに平行線だったのに。
それに、突飛ってなんだ、突飛って…。
また項垂れた俺に、奥様は苦笑い。
それを見て、何となく悟った。
まあ、でも、そっか、こうやってうまく事が進んで来たのかな、谷村家は、と。
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