にじいろの向こう側





「瑞稀様…」
「ん?」


大人しく俺に包まれてる咲月がぽつりと俺を呼んだ。


「私、瑞稀様に撫でられるのが好きなんです。
瑞稀様の掌…す、凄く安心出来るといいますか・・・」


顔を埋めてるけど、耳が赤く染まっている、咲月。


「す、すみません、こんな事。だ、だけど…その…撫でて頂くなら…瑞稀様だけがいい…です。」


そんな姿に目頭が熱くなって、咲月の首筋に慌てて顔を埋めた。


「…俺の事好きなんだ、凄く。」


何か照れくさくて、誤摩化す為に冗談めいて言ったそんな言葉


「はい。」


潔い返事に思わず頬が緩んで視界がぼやけた。


ああ…もう、本当に、咲月には敵わない。


「…ねえ、坂本さん出掛けてんでしょ?」
「はい…今日は遅くなると言っていました。」
「じゃ、遠慮なく。」
「え?きゃあっ!」


くるりと体勢変えて、ベッドに組み敷いた身体


「あの…お部屋で真人様がお待ちなのでは…。」

「やだ。」

「や、ヤダ…」

「だって、俺だけクリスマスプレゼントあげたらフェアじゃないもん。貰って帰ります。」

「え…?あ、あの…クリスマスプレゼントは…んんっ」


咲月が何か言いかけたけど、ごめんね?待てない。


深いキスを何度も何度も繰り返して、さっき噛み付いた首筋に再び唇をくっつけたらキュッとその身体が強ばった。


「…マコに『咲月は俺のだ』って宣言していい?」


見開いた目が少し揺らめいて、その喉がコクリと震えたけれど、くれた答えは
「はい」で。

顔近づけて鼻をすり寄せたらその目を細めてくすぐったそうに笑ってくれる。

安心と愛情に包まれて咲月と繋がった二度目の夜は、中々離れがたくて。

真夜中に戻った自室には、『瑞稀!また明日ね!』って手書きのメモが残っていた。

それにチクリと少しの罪悪感。

初めて…だよな。マコに意見するのは。

けれど、咲月を抱きながら確実に思っていたから。

『絶対に手放したくない』って。



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