にじいろの向こう側
◇
咲月がチーズケーキに奮闘したバレンタインを無事終えてから一ヶ月後。
ホワイトデーの翌日早朝。
剪定の為に門の前に行ったら、咲月が箒を一生懸命に動かして、掃除をしていた。
その髪には瑞稀がプレゼントしたシュシュ
そして…
「おはよ。似合ってんじゃん、新しいシュシュのチャーム。」
「あ……。」
咲月が顔を上げて赤くした頬をそのままにはにかんだら、ホワイトゴールドに埋め込まれたダイヤが朝日を浴びて綺麗に光った。
.
圭介さん経由の伊東さん情報によれば、瑞稀は奥様に純革の栞とブックカバーをプレゼントしたらしい。
…まあ、直では渡したワケじゃなくて、それこそ、伊東さん経由らしいけど
瑞稀にとっては、“約20年ぶりの母へのプレゼント”だったらしい
『前にあげたのは、10歳位の頃で、庭先の花で作った花束らしいよ。』
圭介がそんな事を言っていた。
「あ、あの…剪定ご苦労様です。」
誤摩化す様に笑顔作って掌で顔を仰ぐ咲月。
…こう見るとただの一人の女の子って感じなんだけどね。
咲月が動いた事で、奥様はチーズケーキを作り、瑞稀はそれを食べた。
『咲月ちゃんチーズケーキを作るらしいよ』
圭介から詳細を聞いた時は本当にびっくりしたし、そんな事が本当に上手くいくのか?って結構その後のフォローの手段を色々考えてたけど。
…結局、あの後から、奥様はお菓子作りを頻繁にする様になって、その度に咲月に「手伝いなさい」って声をかける様になったもんな。
厨房の窓から見えた奥様は
俺が見た事無い様な楽しそうな、『一人の女性』って感じの表情で、無邪気に笑ってた。
「あ、あの…涼太さん?」
箒で一生懸命に掃除してる咲月の背中を剪定ばさみ止めて見ていたみたいで、視線に気が付いた咲月が俺を不安そうに見上げた。
「や、ごめん。つい…ね。」
キョトンとして目をぱちくりさせてる咲月に苦笑い。
…ほんと、こうやって見るとただの女の子なんだけどね。
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咲月がチーズケーキに奮闘したバレンタインを無事終えてから一ヶ月後。
ホワイトデーの翌日早朝。
剪定の為に門の前に行ったら、咲月が箒を一生懸命に動かして、掃除をしていた。
その髪には瑞稀がプレゼントしたシュシュ
そして…
「おはよ。似合ってんじゃん、新しいシュシュのチャーム。」
「あ……。」
咲月が顔を上げて赤くした頬をそのままにはにかんだら、ホワイトゴールドに埋め込まれたダイヤが朝日を浴びて綺麗に光った。
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圭介さん経由の伊東さん情報によれば、瑞稀は奥様に純革の栞とブックカバーをプレゼントしたらしい。
…まあ、直では渡したワケじゃなくて、それこそ、伊東さん経由らしいけど
瑞稀にとっては、“約20年ぶりの母へのプレゼント”だったらしい
『前にあげたのは、10歳位の頃で、庭先の花で作った花束らしいよ。』
圭介がそんな事を言っていた。
「あ、あの…剪定ご苦労様です。」
誤摩化す様に笑顔作って掌で顔を仰ぐ咲月。
…こう見るとただの一人の女の子って感じなんだけどね。
咲月が動いた事で、奥様はチーズケーキを作り、瑞稀はそれを食べた。
『咲月ちゃんチーズケーキを作るらしいよ』
圭介から詳細を聞いた時は本当にびっくりしたし、そんな事が本当に上手くいくのか?って結構その後のフォローの手段を色々考えてたけど。
…結局、あの後から、奥様はお菓子作りを頻繁にする様になって、その度に咲月に「手伝いなさい」って声をかける様になったもんな。
厨房の窓から見えた奥様は
俺が見た事無い様な楽しそうな、『一人の女性』って感じの表情で、無邪気に笑ってた。
「あ、あの…涼太さん?」
箒で一生懸命に掃除してる咲月の背中を剪定ばさみ止めて見ていたみたいで、視線に気が付いた咲月が俺を不安そうに見上げた。
「や、ごめん。つい…ね。」
キョトンとして目をぱちくりさせてる咲月に苦笑い。
…ほんと、こうやって見るとただの女の子なんだけどね。
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