春〜僕の手を、離さないで〜

私、春香（はるか）は朝早くから鳴り響く電話で起こされた。電話をかけてきたのは、幼なじみであり私の彼氏の春希（はるき）くんだ。

「あ、おはよう！春香は今起きたところ？」

「うん。春希くんの電話で起こされた」

文句を言う私に、春希くんは「ごめんね」と謝る。シュンと子犬が落ち込むような様子が電話越しにも伝わってきて、私は怒りが吹っ飛んでしまった。

「アハハ、もういいよ。それでどうしたの？」

「あのね、桜がすごく綺麗な場所を見つけたんだ！今から二人でお花見しようよ」

桜、春に咲く淡い色の美しい花。春希くんと幼い頃から二人でよく見た花の一つだ。二人とも花が好きで、小学生の頃は二人で園芸委員会に入ったこともある。

お花見ということで、私は電話を切るとすぐにキッチンに立つ。レタスやハムを使ってサンドイッチを作った。やっぱりお花見だしね。

白いボリュームスリーブニットに、桜のような淡いピンクの花柄のロングスカートを履く。その上にデニムジャケットを羽織れば、お花見コーデは完成！