春〜僕の手を、離さないで〜
もっと驚かせてみようと私はニコリと笑う。そして、躊躇うことなく口にした。

「一緒に暮らそう?」

春希くんの頰が赤くなって、涙が止まって、逆に笑顔が生まれていく。また私は抱きしめられた。

「もちろん!」

舞い散る花吹雪は、私たちを祝福する奇跡の雨なのかもしれない。この奇跡の下で私たちは再会して、この奇跡を何度も見ていくんだ。

未来を作るなら、この人しかいない。この恋は最初で最後の恋。

そのことに気付きながら、私は春希くんと唇を重ねる。

「ついてるよ」

私の頭についた花びらを取り、春希くんが笑う。私からも笑い声が漏れた。

桜が舞う春の日、私は愛しい人と手をつないで歩いていく。
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