春〜僕の手を、離さないで〜
「ねえ、遊びに行かない?」

互いの仕事が休みの時は、春希くんからそんなラインが来て一緒に遊んだ。

遊園地、カフェ、水族館、ショッピングモール、カラオケーーー。今まで楽しめなかったところに春希くんは連れて行ってくれて、たくさん遊んだ。楽しくて、とても温かくて……。

「春香のことがずっと好きです。僕と、付き合ってください!」

再会してから一年後、私の誕生日の日に春希くんは私にそう言ってくれた。豪華な色とりどりの花束と、ブレスレットをプレゼントしてくれた時に、顔を赤くしながらーーー。

「春希くん、私は……」

あなたとは、釣り合わない。そう言うつもりだった。でも、口から言葉は出てこない。何でだろう。

「わかってる!春香が暴力のせいで人を愛せないんじゃないかって怖がっているの、わかっている!だからこそ、一緒にいて「そんなことないよ」って言いたいんだ」

そして、私は春希くんとお付き合いをすることになった。私にとって、生まれて初めての恋人ーーー……。
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