夏〜お前の横顔、しっかり焼き付けるから〜
「夏未!!」

ストレスで体重が急激に落ち、ボロボロになったあたしを見て、千夏は誰よりも心配してくれた。骨張ったあたしを抱きしめて、こう言ったんだ。

「俺、まだお前のことが好きなんだ。お前のことを守りたいから、付き合ってほしい」

その言葉に、あたしは深く考えずに頷いてしまった。疲れ切って、どうでもよくなっていたんだ。



そして、千夏と付き合い始めて一年。友達と何も変わらないような状態のまま、時間と季節だけが変わった。

この関係は、同情からの関係。あたしだって隣にいてくれる人がほしかっただけかもしれない。もう心の傷は癒えて、でも千夏はそばから離れる気配はない。

「あ、もうこんな時間だ。俺はそろそろ帰って夕飯を作るわ」

気がつけば六時を過ぎていた。あたしは玄関まで千夏を見送る。

「またね」

あたしが手を振ると、千夏は頰を赤く染めて手を振り返す。そして家を出ようとして、再びあたしの方を向いた。

「なあ、今週の土曜日って暇か?」
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