夏〜お前の横顔、しっかり焼き付けるから〜
「暇だけど……」

千夏はズボンのポケットからチラシを取り出す。それは、毎年この時期にやる夏祭りのものだった。懐かしい。小さい頃、千夏たちと行っていたっけ……。

「よかったらさ、一緒に行かねえか？ふ、二人で！！」

二人でのところを強調し、千夏は緊張した声で訊ねる。あたしはコクリと頷いた。

「やった！じゃあ、土曜日の五時に迎えに来るわ」

千夏は大げさに笑い、家を出ていく。あたしの胸には、複雑な気持ちがいつまでも残っていた。



夏祭り当日。あたしは島の女の子から浴衣を借りて千夏を待っていた。

オレンジと黄色の花柄の可愛らしい浴衣だ。似合っているのか自信がない。

「迎えに来た」

そう言い、千夏が部屋に入ってくる。その刹那、その頰を赤く染めた。

「どうしたの？熱？」

「何でもねえ！行くぞ！」

千夏に連れられ、あたしは夏祭り会場へと向かった。

夏祭りの会場には、たくさんの出店が並んで多くの人で賑わっている。夏のこの景色があたしは好きだ。
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