夏〜お前の横顔、しっかり焼き付けるから〜
「とりあえず、何か食うか」

千夏の提案にあたしも賛成する。焼きそばにかき氷、たこ焼きにわたあめとおいしいものがたくさん並べられていて、お腹が鳴ってしまいそうだから。

「何食べる?」

「う〜ん……。とりあえず、たこ焼き食うか?」

たこ焼きの出店に並び、二つたこ焼きを買う。道端に寄って二人で食べ始めた。

「あっつ!」

出来立てのたこ焼きはとても熱く、千夏は口を押さえている。その様子にあたしは笑ってしまった。

「飲み物、買ってくるよ」

近くに偶然にも飲み物を販売している出店がある。あたしはそこに並び、コーラとサイダーを買った。サイダーを千夏に渡す。

「ありがと」

千夏はサイダーを一気に飲み、今度は慎重にたこ焼きを冷ましてから食べる。あたしもよく冷ましてから食べる。うん、おいしい。

東京にいた頃、こんな風にお祭りに行くこともなかったっけ……。そんなことを考えていたら、千夏にジッと見つめられていた。

「何?」
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