イケメンの恋愛観察日記
愛の観察
ああ…今日も美和ちゃんキラキラしてる…。そうだよね、たぬきそばを食べてる草野くん、可愛いもんね。

今日の美和ちゃんはオムライスを食べながら、草野くんに見とれていました…と。

『愛の狩人』と名付けた恋愛観察日記に美和ちゃんと草野くんの初々しい2人の恋の記録を綴る。

ああ、尊い!

何故こうも恋をする人達って綺麗で輝いているんだろう。見ているだけで胸が熱いわ!

「おっ!今日はだし巻きじゃん!」

胸を熱くしている私の前に広げているお弁当のおかずを左横に座った男が盗み食いをしてきた。

「ちょっと加瀨?あんた、カツ丼食べてるじゃない。」

加瀨 拓海(かせたくみ)がだし巻きをモグモグ食べながら私を見ている。

薄いグリーンがかった神秘的な目だ。鼻筋も通っていて、顔も整っているだけでも羨ましいのに体の部位まで手が大きくて指が長くて綺麗な隙の無いイケメンだ。

確かお祖父様がフランス人だったよね。

「いつもお弁当だね。この肉巻いたの美味しそう〜女子力高っ!」

と加瀨 拓海の反対側、右横に座った嘉川 基尚(よしかわもとなお)が私のお弁当を覗き込んでいる。

嘉川はキリッとした眉にすっきりした目元の、漢!みたいなガタイの良い男前だ。

加瀨と嘉川はうちの会社のマーケティング営業部のイケメンツートップだ。

因みに私は経理部だ。たまたまこのイケメンに挟まれてはいるが、2人とは同期入社の同い年なだけだ。

この2人イケメンだけどなぁ。

私の『愛の狩人』に加瀨と嘉川の記載は無い。だってこいつらは、一方的に思われることはあるけど、本人が身を焦がすような片思いをしていたり、切ない悲恋を味わっている恋愛はしていない。私の知る限りは…だが。

来るもの拒まず去るもの追わず。

群がる女子を契っては投げ、契っては投げ…文字通り契りまくって捨ててきた恋愛上級者だ。

美しくない。

恋とは悲恋でも片恋でも想い焦がれるその姿は等しく尊く、光り輝いている。

勿論、両思いになっている恋人たちも尊い。好きや愛しているという感情を出している男女共にキラキラ輝いて、見ている私も幸せを分けてもらえている気分になれる。

自分はどうでもいいのだ。

私は周りの恋して愛して光り輝いている方々を観察するのが好きなのだ。




< 1 / 25 >

この作品をシェア

pagetop