沈黙の歌姫
Aメロ

結歌side

海音の家から学校に行って、放課後になったら倉庫に行って、夜になったらまた海音の家に帰る。



こんな生活が始まって2ヶ月半がたった12月半ば。


2ヶ月半海音と暮らして分かったこと。

海音はなんにも用事がなくても、私がお風呂に入っている間絶対に出かける。たぶん、私に声を出せる、歌える時間を作るため。



こんなに良くてもらっているのに、海音の前ですら声が出ないってことが申し訳なくてたまらない。



みんなとお昼を食べて、教室に戻りながらそんなことを思った。


いつか怒って突き放されてしまうんじゃないか。

海音のことは信じているのにそんなことまで考えてしまうのは


「なんであいつが?」


「ミイラのくせになんで海音くんと付き合ってんのよ。」


「どうせすぐ捨てられるでしょ」


周囲から聞こえるそんな声のせいだった。


喋れない。迷惑をかけるだけの私がここにいていいのか。


日に日に気持ちが沈んでいく。
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