沈黙の歌姫
「ねぇ。海音くんの彼女ってあれ?」
「絶対そうでしょ。2人で遊んでるってことは」
「釣り合ってなくね?なんか、くらーい感じ。」
「うちらの方がよっぽどいいじゃん」
「海音くんだって渋々付き合ってあげてんでしょ。」
うるさいゲームセンターの中でわずかに聞こえてくる声。
他校の制服を着た2人の女子高生が私を見てそんなことを言っている。
きっと彼女たちは私が喋れないなんてこと知らない。
それでも、海音が渋々付き合ってるって感じるんだとしたら、本当にそうなのかもしれないと思い始めてしまう
また気持ちが沈んでいく
ここにいるのが耐えられなくなって
【トイレ行きたい】
なんて、嘘ついた。