沈黙の歌姫

「結歌。それは違うよ。」


一希が突然言い出した


違うって何が違うのよ。


「海音はマジで結歌のこと好きだよ。小学生の頃からあいつを見てる俺が言うんだから間違いない。」


【でも今だってその子たちと…】


「結歌のこと必死に探し回ってるよ。ほら。」


一希に見せられたスマホには

“結歌とはぐれた。探すの手伝え”

と、メッセージが来ていた。


「海音が命令口調のときはマジで焦ってたり、緊張してたりするときだから。」


探してくれてるっていったって、それは建前上でも姫を1人にしておけないからでしょ。


「海音にここ教えたから、来たら2人でちゃんと話しな」


えっでも…今は…。


会いたくない。


「結歌ちゃんさっき他の人の方がって言ってたけど、海音が優しくするなんて結歌ぐらいだよ。」


え?


「花恋と千果のことは仲間として受け入れてくれてるけど、今まではそれ以外の女の子と関わろうとしてこなかったんだよ」

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