沈黙の歌姫

『結歌がトイレ行ったあと、あいつらがコソコソ悪巧みした感じでトイレに入って行こうとしてたから、結歌に何がする気だって思って咄嗟に声かけてた。

引き止める方法が俺にはそれしか思い浮かばなかったから。

結歌がどう感じるか、考えてあげられなかった。それもごめん。』


そうゆうことだったんだ。

海音なんにも悪くないじゃん。全部私の勘違いのせいだ。


【私の方こそいろいろ勘違いして、心配かけてごめん。】



『そりゃ、頭おかしくなりそうなぐらい心配したけど、勘違いするようなことしたのは俺だから。』


【じゃあ、お互い様ってことで】


『そうだな。』


外では夕方のチャイムが鳴って、

もうぬるくなったココアを飲み干した


『帰ろっか』


差し出された手をしっかりと握って歩き出した。

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