沈黙の歌姫

『結歌。ごめん。辛い思いさせて。』


それから、元気になってほしくて連れ出したこと、
なんであの女たちと話していたのか、

そして、

周りの声に気がつけなかったこと、
不安な思いをさせてしまったこと、
一つ一つ謝りながらちゃんと話した。



【私の方こそいろいろ勘違いして、心配かけてごめんなさい。】


「そりゃ、頭おかしくなりそうなぐらい心配したけど、勘違いするようなことしたのは俺だから。」


【じゃあ、お互い様ってことで】


結歌をちゃんと守ってやれなかった俺が悪いのに、結歌はお互い様なんて言う。


「そうだな。」


今はその優しさを尊重したかった。


そうして、誤解が解けて俺たちは手を繋いで帰った。
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