沈黙の歌姫

花恋と千果は「大丈夫だから」と言ってくれるけど、


似合ってないんだ……。と悲しい気持ちのまま、ろくに眠ることも出来ずに

暴走が始まった。


普段とは違う総長の顔つきの海音が、
かっこよく見えれば見えるほど、
悲しみは大きくなった。


怖がることも無く、ただ悲しさと戦っているうちに、あの海に着いた。


12月の冷たい海にみんな次々と走って行く


見ているこっちが寒いよ


『あいつら…風邪ひいても知らね』

横で呆れた声を出しているけど、顔は楽しそう


海音の楽しそうな顔をみて、不思議と頬が緩んだ。


『ダメだ。我慢出来ねー。ちょっとこっち来て。』

と言って、離れたところに連れていかれた。


私とみんなの近くにいるのが我慢できないほど、酷いの?

目に涙が溜まり始めて、視界が霞む。


海音の足が止まったとき、霞んだ視界は一瞬にして遮られた。
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