沈黙の歌姫

「海音はまだ中学生なのに幹部っていう普通じゃありえない状況だったから、ほとんどの人がよく思ってなかったんだけど、

年下にも頭下げるわ、泥だらけになって掃除するわ、自分が怪我しながら喧嘩止めに入るわ……

そんな海音の性格にみんな心を動かされて、みんなから認められるようになったんだよ。」

そう言ったのは裕貴。


みんながあんなに尊敬している気持ちがよく分かった。

やっぱり海音は素敵な人だ。


そんな会話をして、しばらくしてから海音は戻ってきて、

みんなで話しながらピザを食べて、

すっかり真っ暗になった8時過ぎに倉庫を出た。


バイクに跨って出発しようとしていたとき


『ちょっと寄り道するな』

と声をかけられた。


どこに行くんだろうと思いながら、振り落とされないように海音にしがみつく。

バイクに乗るのは随分慣れた。
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