沈黙の歌姫
いつもと違う道を進むうちに、見覚えのある道に入った。
そして、海音がバイクをとめたのは…
私がいつも歌っていた、海音と初めて会ったあの公園だった。
10分もかからないくらいだったから、倉庫からそんなに遠くなかったみたい。
海音と出会った日以来2ヶ月半ぶりの公園は相変わらず静かで懐かしかった。
いつも慰めてくれていた野良犬がいたけど、私を見てもぷいっとどこかへ行ってしまった。
あー、行っちゃった…
今の私は慰める必要ないって思ったのかな??
いつもはベンチに座っていたけど、今日は2人でブランコに、座った。
『うわっ小さっ』
高校生にもなると、ブランコが地面と近すぎて、漕ぐどころじゃない
『ブランコなんていつ以来だろうなー。』
なんて言いながら足を着けたまま前後に揺する海音
『今日楽しかったな』
うん!すっごく!
コクコク頷いて、そう伝えた。