沈黙の歌姫
海音が突然ブランコから降りて、

『なあ結歌。俺さ、結歌とここで会えて本当に良かった。』

と言いながら私の後ろに、回る


それは私のセリフだよ。

海音と出会えなかったら私は今でもここで、1人で歌ってただろう。


『結歌に出会ってから、少しずつ前向けるようになった。ありがとな。』


小6で止まったままの海音の時計の針が、進み始めたことに、少しでも私が関わっているのなら、

こんなに嬉しいことはない。


『メリークリスマス』

海音がそう言うと同時に、私の首元にひんやりとした何かを感じる。


え?

驚いて少し持ち上げて視線を向けると、


海音とファッションビルに行ったあの日、アクセサリーショップで可愛いと思ったネックレスだった。


うそ…高かったのに。


あっ!私も!
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