沈黙の歌姫




時計を確認するとちょうど7時を指していた。


もう起きなきゃ…。




起き上がろうとすると、ズキズキと昨晩殴られた額と左腹が痛む。

痛々しい青色になっているが、私はもう何とも思わない。むしろ前髪と服で隠れるところで良かったと思う。


慣れって恐ろしい…。



目が隠れるほどに長く伸ばした前髪であざを隠し、軽くメイクをして身支度を整えリビングに向かう。



父はもう家を出た後。
食パンを食べながらお弁当を作り、行きたくもない学校へ向かう。



いつかこの家を出るため、高校くらいは卒業してやる。そんな意地が私を学校へと向かわせる。


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