沈黙の歌姫
『必要なものは明日家に取り行って、足りないもんは買いに行くぞ。学校サボって』
そんな…何から何まで。
【いろいろとありがとうございます。
私は緘黙症って言って、話せない訳じゃないんですけど、人前になると声が出なくなっちゃうんです。なので、迷惑かけてしまうかもしれないです。ごめんなさい。
ただ住まわせてもらうのは申し訳ないので家事をやらせてください。
それと、私なんかが海音さんと付き合って、姫になっていいんでしょうか。釣り合わないなって…。】
私は登録したばかりの目の前にいる彼のアドレスにメールを送った。
ブーっと無機質なバイブ音が響く
スマホを取り出してメールを読む彼はちょっと寂しげな顔をした気がした。