沈黙の歌姫

結歌を送り届けるまでは何も話さなかった。


何を話したらいいか分からなかったのもあるが、話せない彼女に話しかけ過ぎると彼女の負担になってしまうと思ったからだ。



家に着くと結歌はお辞儀して、少し躊躇いながらそーっとドアを開け、家に入っていった。



きっと家に帰りたくないのだろう。



何があるのか。結歌には悪いが一希に調べてもらおう。俺が関わるということは、狼義が関わるということ。たとえ女でも、調べなければならない。


一希のハッキング能力は世界一だ。調べられないことなんてないと思う。



そして、いつも通り倉庫に帰った。



買い出しに行かされた途中だったから、帰りが遅いと湊達にさんざん文句を言われたが、あんまり耳に入ってなくて、ずっと結歌のことを考えてた。


< 49 / 192 >

この作品をシェア

pagetop