沈黙の歌姫
驚いた顔はしているが、怖がる様子は無さそうで、一安心。
『驚いたか?』
昨日はかたまって動けなかった人とは思えないほど、すんなりと、しっかり頷いてくれた。
『一応世界一の有名な族だから知ってると思ってたんだが』
より一層驚いた顔をする
『狼義は自分達から暴力沙汰は起こさない。分かりやすく言えば、絶対に喧嘩は売らないが、売られた喧嘩は買うってとこだ』
『道路交通法は違反してるだろうが、暴走族の中では規律が厳しくて統率が取れた正統派の族だ。
で、さっき会った奴か副総長。この階のもう一室に幹部の1人の中条湊(なかじょうみなと)って奴が住んでる。』
さっきの話と繋がったのか、納得した顔をしていた。
『このマンションは俺の親のもんだ。トーンエストつう会社知ってるか?』
こくんと頷く。
そりゃ知らないわけないよな。
『俺の親父はそこの社長。だから俺は俗に言う御曹司ってやつだな』
一度に大量の情報をぶち込んで申し訳ないけど、ちゃんと知って欲しかった