沈黙の歌姫

知った上で一緒にいて欲しかったから。


『で、結歌は今日からここで暮らせ。学校までは送ってやる』

今度は戸惑ってる。そりゃそうだ。


『ただ、ここで暮らすとなると結歌にも危険な目に遭う可能性がある。だから、俺がちゃんと守るためにも狼義の姫になって欲しい。どうだ?』

違う…。

姫になって欲しい訳じゃない。

俺が好きだから。守りたいから。
付き合って欲しいんだ。


『言い方が悪かったな。結歌が好きだから俺と付き合ってくれ』


言葉は素直に伝えないと伝わらない。


『結歌は俺の事知らなかったみてーだけど、俺入学式のときから結歌のこと知ってた。』



『誰のことも信じないって目してたから。』


正直に全て伝えよう。


『昨日結歌の歌聴いて、俺がこいつ守りてぇって思った。』


歌が聞かれるってことは結歌の中でかなり大きなことだと思う。


『守られてくれればいい。ぜってー惚れさせてやるから。』


俺様な一言を添えておく。
守らせてくれればいいとかかっこいいこと言っちまった照れ隠しだけど、惚れさせてやるってのは本心


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