沈黙の歌姫
返されたスマホの画面を見て笑顔になる結歌。


引きつった笑顔じゃなく、自然にこぼれた笑顔だった。


『やっとちゃんと笑ったな』


自分が笑っていたことにビックリしたのか、頬に手を当てる


『笑った方が可愛い。』

みるみるうちに可愛い顔が赤く染まる

『照れた顔はもっと可愛いな』


スマホで顔を隠すその行為が愛おし過ぎて、頭をわしゃわしゃと撫でた。



『おっあったあった!ほい』

テレビ台にしまってあったスペアキーを結歌に渡す。


『お前用な』

『必要なものは明日家に取り行って、足りないもんは買いに行くぞ。学校サボって』


結歌がちゃんと授業を受けているのは分かってたけど、お父さんと鉢合わせさせないためにも、学校をサボった方がいいと思った。

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