沈黙の歌姫
結歌side
ちゃぽん。
軽やかな心落ち着く音をたてながら、心地よい温かさをつま先から感じる
肩まで温かさに包まれてから、ふーと息を吐いた。
こんなに落ち着いてお風呂に入っていていいのだろうか。
海音さん…じゃなくて、海音が夜ご飯を買いに行ってくれている間、海音に言われた通りお風呂に入らせてもらった。
身体を洗いながら今日のことを思い出して、気持ち悪くなりいつもより念入りに洗った。
自分の家の2倍くらいありそうな広い湯船の中であ…あ…と声を出してみる。
いつもの公園と違って、自分の声よく響く。
それがなんだか嬉しくて、いつもの歌を歌う。
ー♪大丈夫。この雨はきっと美しい虹をかける。だから目を背けないで。ー
昨日まで土砂降りだったけど、今日はなんだか晴れ間が見えてきたような気がする。
海音が私の虹なのかもしれない。そうであって欲しい。
そう思いながら、ついさっきのことが脳裏に浮かんで1人で恥ずかしくなる。