沈黙の歌姫
大人しくした途端に腕の力が緩んだ
もう一度バタバタしてみる。また力が強くなって大人しくする。
そんなことを7,8回くらい繰り返したとき、
バンッ
部屋のドアが雑に開けられた
驚いて視線を向けるとそこに居たのは一希さん
「あっ結歌ちゃん!ごめんいきなり入って…いると思わなかった」
「こいつマジで朝起きねぇから、毎日俺が起こしてんだよ。とりあえず、今助けるね」
そう言って海音の腕を引っ張って隙間を作ってくれたので、やっと抜け出せた。
「こいつはこうやって起こすんだよ」
いたずらそうに笑いながらシーツを一気にめくりあげて大きなベッドの隅に追いやる
一希さんは割と細身だが、かなり体格のいい海音を動かすなんて、相当力が強いんだろう。
最後はベッドの端にいる海音をドンッと一蹴り。
『いデッ!』
変な声がして思わず笑ってしまった。
『一希…お前もう少し優しく起こせねぇのかよ』
ベッドの下に転がりながら、ブツブツ文句を言っている