風邪引き
なにかの前兆・・・!?
「・・・・・・・・」
頭痛と暑さで目が覚める。
「うう・・・風邪ひいたかも・・・。」
ぐったりする体をなんとか動かし、カバンの中の体温計を取り出す。元は看護学生だったので、基本的な看護道具は常に持ち歩いているようだ。
ピピピッ
測定完了のアラームが鳴る。
「・・・うそ・・・38.5度・・・思ったより高い・・・。」
ぐったりした体がさらに重くなり、ベッドに体を落とす。なにかがぴょんと跳ねた。
「あ・・・ごめんねアル・・起こしちゃったね・・・。」
そのぷよぷよした体を足に乗せたとたん、アルがおもむろに自分の額を明日香の額に当てた。びっくりしている明日香をよそに、額を離したアルは、なんだかびっくりしたような困ったような顔をしている。明日香に熱があることに気がついたようだ。明日香は微笑んで、
「大丈夫だから。そんな顔しないで。心配してくれてありがとう。」
明日香はアルを抱いた。でも、アルは納得がいかなかったらしく、明日香の腕を抜けてふよふよと部屋を出ていってしまった。
「あっ・・・!?ちょっと!?アル!?」
明日香はパジャマのままよたよたとアルを追った。