愛が重くて何が悪い!
「ごめんなさい、私、好きな人いるんです」


厳密に言うと、彼氏がいるんだけど。
……なんなら婚約までしちゃってるけど。
許婚だからだれになんと言われようとも結婚してやる。璃汰が嫌がったって、絶対。


普段は不要物検査に備えて、指輪は家に置いてある。
1日一回は、一瞬でもつけるようにしてる。
璃汰が私のこと考えて頑張ってバイトして選んできてくれたって思うだけで幸せでね。
口元緩んじゃう。


……ってそんな話じゃない。


目の前には、今にも灰になって飛んでいってしまいそうな白い会長さん。


「……そ、れは想定外」
「ごめんなさい」


ぺこり、と頭を下げる。
どうでもいいな、こんな人。
璃汰じゃない人、みんなどうでもいい。


あ、璃汰に連絡しとかなきゃ。
泣いちゃう。


「……ま、それでもっ、彼氏がいないんだったらまだ、僕にだってチャンスはあるよね、
諦めないからそのつもりで」


会長はそう言って消えていった。
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