愛が重くて何が悪い!
雄叫びがシャクに触る。


「……鬱陶し」


試合かぶったら意味ないじゃん。
悠音は見てくれないのにストレスは溜まって。
悠音も、モテてるし。


腹立ち紛れにバカみたいに強いアタックを決めてしまう。
跳ね返ったボールはえげつないスピードを保ったまま低いところを跳ぶ。

オーディエンス、背中を向けた男子の足に直撃。
ざまあみろ。


有無を言わさずに交代が入る。
悠音も一緒のタイミングで終わったらしくて、タオルを持ったまま友達とキャピついてる。
俺の近く、コートの側面に腰掛ける。
互いに背中を向けているから表情は見えないけど。


「悠音ちゃんは好きな子とかいるの?」
「いるよー?」
「彼氏は?」
「いるー」
「えっ、誰??」
「他校の子。許婚でね」


ニコニコとそんな会話をする悠音。
前の約束、守ってくれてるみたい。
間違ってはない。
同じ学校だけど。
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