触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「これじゃ勉強出来ないよね?」




「あ、そだね」




素直に手を離すとクスクス笑ってる。




「知ってた?ここカップルシートなんだよ?」




「え?そうなの?どうりで距離感近いと思った」




周りのソファーも同じようにカップルが並んで座ってる。




「姉弟で座ってんの私たちくらいじゃない?」とコソッと言う仕草もいちいち可愛い。
カップルならではの近さを出来るならとことん利用したいけれど。




「じゃあ俺、年上彼氏って設定で」




「え、何で年上!?」




「うーん、一回やってみたいから」




「プッ…!何それ」




近いのに更に顔を近付けて優しく頭コツン。




「勉強もいいけどほどほどにな…」




「はーい」って笑い堪えてるじゃん。
必死に立て直そうとしてるけど?
え、そんなに可笑しい?




顔を上げたかと思えば
「先輩、喉乾きませんか?」ってそれヤバ過ぎ。
先輩とか目見て言われたらノックアウトだわ。
設定遊びなのに耳まで真っ赤になる。
結局それ見て笑われるのがオチなんだよな。




移動したカフェでお腹抱えて笑わなくても。
俺まだ年上彼氏になって一言しか言ってないのに。




「ヒロの年上彼氏って想像しただけで面白くって……しかも急に演技入るんだもん」




「俺はいつでも主演男優賞狙ってるんだよ?」




「も〜やめて〜アハハ…!」




「笑い過ぎだ」




目尻に涙まで溜めちゃってさ。
そんなに無理な設定かよ。
いいじゃんか、年上っぽく振る舞いたい時もあるんだよ。




「じゃあ他には?どんなこと言ってくれるの?年上らしくどんなことしてくれる?」




「え………っと…」




隣に座り、肩を抱いてみたり……?




後は……額寄せ合ったりしてラブラブな雰囲気たくさん出して。
横髪耳にかけてあげて………ってあれ?
奈那こそ顔赤くね?
あちゃ、両手で顔隠しちゃった。







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