触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
先に席を立った時もホッとしたような表情を浮かべてたのは思い過ごしかな。
食後のコーヒーも飲まないなんて変に思われたかも。
こんなんで明日………
俺たちどんな会話するの……?
ピロリン♪とメール着信。
奈那…!?なわけないか………
何だよ、純太かよ。
タイミング悪過ぎだろ。
(プレゼントしたDVD観てくれた?)
完全に忘れてたわ。
そういやくれてたな。
でもいかがわしいやつだろ?
(ムシャクシャしてる時にピッタリだぞ)
俺の何をわかってるって言うんだよ。
ちょうどムシャクシャしてるよ!!
出口のない迷路でストレス溜まるし八方塞がりで前にも進めねぇ…!
前髪をグシャっと掴む。
どうすりゃいいんだよ………
(あ、奈那さんに似てる人セレクションしといたから(^^)v)
はっ!?
お前、奈那を変な妄想に使うんじゃねぇ…!!
慌てて無造作に置いていたDVDを手にする。
いや、俺は見ない……見ないぞ。
こんな時にすることじゃない。
いくらムシャクシャしてるからって……
そんな気分じゃないし。
でも奈那に似てるって……どれくらい?
バカ、絶対似てないはずだ。
惑わされるな、俺。
しばしDVDとにらめっこ。
手が勝手に動き、パソコンにセットする。
うわ、俺何やってんだ!?
見ないって言っただろ…!
ダメだ、そんなキャラじゃない。
ましてや奈那をオカズにだなんて……
(ヘッドホンで楽しんでね)
今まさにヘッドホンを手にしている。
嗚呼……俺はバカだ。
何を確認しようとしてるんだ。
万が一でも奈那に似ていたら……
世の中の男どもの餌食になってるんだよな…?
そんなの嫌だ…!!
例え他人の空似でも嫌だ…!!
意を決して再生ボタンを押した。