触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
ヘッドホンを耳に当てゴクリと生唾を飲む。
…………!?!?
突然始まった本編。
慌てて音量を下げる。
もう、口じゃ説明出来ないことたくさんしてる…!!
いきなり本番だなんて心臓バクバクで挙動不審になる。
でも目線は外せなくて釘付けだ。
うわ………マジか。
ひぇ〜!大胆過ぎる。
久しぶりにこういうの観たけど………
本来なら興奮してしまう内容なんだけど………
何故か虚しい。
純太のやつ、全っ然奈那に似てねぇじゃねぇか…!
今度会ったらとっちめてやる…!
何となく年上女性との設定なんだろうとは想像がつくが、これ……興醒めだ。
女優さんには申し訳ないけども。
ヘッドホンを耳から外し音無しでも見てみる。
が、しかし虚しさが残るだけ。
俺のジュニアも全く反応してないし。
半分ほどボーッと見てたら横に置いたはずのヘッドホンがスッと消えた気がした。
チラッと目線だけで確認したらすぐ隣に細い素足が並んでる。
えっ……!?!?
人生初の高速二度見…!!
ヘッドホンをつけてあのいかがわしいDVDを興味津々に見ている奈那の姿が見えた。
「うわー!!え、何!?何してんだよ!」
マジマジと動画を見て
「ふーん、こういうの好きなんだ?」って何で部屋に居るの!?
「違う!違うから!ていうかいつ入って来たの!?」
目が真剣なんですけど!?
あ〜ダメだ!
パソコン自体を閉じる。
「ねぇ、一緒に見ようよ」
「見ないよ!何言ってるの!?」
「1人で見るなんてズルい、私も見たい」
何なんだよ…!!
どうしちゃったの!?奈那!?
絶対そんなの言わないだろ!?
パソコンも閉じてヘッドホンも取り上げた。
チェッて不服そう。
ていうか、顔見れない………