触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「ここに誰か触れたの…?」




親指で唇をなぞられる。




「ねぇ……キスもHも誰としたの?」




初めて見る奈那の顔だった。
眉をハの字にして今にも泣き崩れそうな勢い。
どうする……?
本当のこと言う……?
それとも誤魔化す……?




頬に触れてる手を解いた。




「何マジになってんの?俺、弟だよ?そりゃいつかはするでしょ!」




あっけらかんと言えてホッとする。
よくぞ耐えた。
心臓は暴れたままだけどそのうち収まるはずだ。




「ヤダ……」




静かな部屋に響く奈那のかすれ声。
足にポタポタと涙がこぼれ落ちシミを作ってく。
ゆっくり見上げたら溢れ出る涙を止めようとする儚い表情……隠す腕を掴んだ。




頼むから……逆なでしないでくれ。
必死なのわかんないの……?
どんなに取り繕っても俺………
奈那の涙に弱いの知ってるくせに。




「姉貴…?」




首を振り「姉貴って呼ばないで」と懇願する。
もうどうすればいいのか自分を見失いそう。
掴んだ手をそのまま引き寄せ抱きしめる。




何取り乱してんだよ………
らしくないじゃん。
いつもの姉貴面はどうしたんだ……?
おどけてくれなきゃ。
じゃないと俺はこのまま震える肩をもっと強く抱きしめて……その先を求めてしまいそうだ。




だからここで止めてくれ………




「ヒロはもう……誰かのものなの?」




泣き顔でその言い方は反則だろ。
それ、腕の中で言う…!?
それともわざと理性崩しにかかってるの…?




「何だよそれ……誰かってひよりちゃん指してると思うけど、俺たち本当は付き合ってない、フリをしてただけ」




「フリ……?何で?」







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